ふと視線を感じた——

振り向くと、そこに佇むのは静けさをまとった一匹の猫。

Kisuは、空間に“気配”という名の美をもたらします。

極限のフォルムのアートピース

2020年、モダンデザインの巨匠 エーロ・アールニオ によって生み出された「Kisu（キス）」は、Eero Aarnio Original の最新アイテム。彼の代表作であるボールチェアやパスティルチェアに通じるミッドセンチュリーのDNAを宿しながら、極限まで削ぎ落とされデフォルメされた猫のフォルムが、静かでどこか愛らしい存在感を放ちます。

Eero Aarnio ─ プロダクトに生命を宿すデザイナー

エーロ・アールニオが初めて鉛筆を手にしたのは6歳のとき。労働者家庭に育った彼にとって、描くことは生活の延長でした。建築家ヘイッキ・シュシメッツァの勧めで進学した工芸美術学校では、タピオヴァーラやヌルメスニエミといった巨匠のもとで実務を学びんだ後に独立し、自らの手で家具を生み出す道へ。描写力と造形感覚だけでなく、写真やグラフィックにも通じていた彼は、製品撮影のディレクションまで自ら手がけました。
“スペースエイジのデザイナー”と称されながらも、スタイルよりも機能性を大切にするフィンランド的アプローチを貫き、プロダクトには表情とキャラクターを宿らせる力を持っています。彼の代表作が世界で愛されるのは、単なるフォルムの美しさ以上に、そこに込められた思想とストーリーがあるから。大胆さと好奇心を武器に、新素材との出会いを楽しみ、常に新たな問いを持ち続けるその姿勢こそが、時代を超える「かたち」を生む原動力です。

Story of Kisu

エーロは子供の頃から猫に魅了されていたものの、1940年代当時、アールニオ一家はペット禁止のアパート住まい。幼いエーロはアパートの周りでくつろぐ野良猫を家に連れ帰ってしまい、その熱心な一面に触れた母親は、内緒で一日だけ猫と遊ぶのを許してしまったそう。「猫は私にとって、常に共感できる動物でした」と彼は言います。エーロはこれまで数々の動物のフィギュアやキャラクターをデザインしてきましたが、ついに猫もデザインする時が来たと決心。そしてついに"Kisu"=「子猫」のフィギュアが生まれました。これは彼が子供の頃、猫に親しみをもって”Kisumisu”という愛称で呼んでいたことが由来なのです。

屋内という枠を超えた存在

Kisuが魅せるのは、ただのオブジェではありません。それはインテリアとしての完成度と、アートピースとしてのストーリー。屋内はもちろん、バルコニーやガーデンといった屋外空間にも調和し、日常に柔らかな非日常をそっと差し込んでくれます。

素材は高品質なポリエチレン。カラーはブラックとホワイトの2色展開で、どんなスタイルにも溶け込みながら個性を際立たせます。すべての製造は同じ欧州のイタリアの工場で行われ、曲線のライン、表面の仕上げ、存在感、そのすべてに“本物”が宿っています。

Eero Aarnio Originals

その物語は、ステファン・マールベルグが若き日に自宅の設計中にエーロ・アールニオと出会った瞬間から始まります。やがてステファンは家具業界で活躍し、2015年にエーロとパートナーシップを結成。「Eero Aarnio Originals」が誕生しました。
エーロ本人との緻密な連携のもと、象徴的なBall Chair、Bubble、Pastil、Ponyといった名作を再びフィンランドで蘇らせ、価格と品質の両立を実現。新作の開発にも積極的に取り組み、未来のクラシック創出にも注力しています。使命は、人々に笑顔を届けるエーロの作品を、真のオリジナルとして世界へ発信すること。国内外の熟練工場で、持続可能な方法で一つひとつ丁寧に生産しています。
ひとつのデザインが生まれるまでには、膨大な時間と創造、試作、投資が重ねられています。その背景にある物語や信念は、模倣品では決して得られません。Eero Aarnio Originalsの製品にはすべて、真贋を証明するIDラベルとエーロ本人の署名付き証明書が付属します。